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クロス・ストーリー 第3話 ―集結

 今日はお客さんが来る日だ。
 お客さんというより、仕事仲間なのかな?
「おいミナ。気をつけろよ……特に男の方に」
 ヴルドが真面目な顔で忠告してくる。
 今日起きてから何度も何度も聞かされたセリフ。
 ヴルドいわく「もしかしたら誰かが俺達を始末しようと暗殺者を送り込んできたって可能性があるからな」だって。
 心配性だなぁ。あの男の子の仕事なんだから問題なんて起こる訳無いのに。
 そういえばあの男の子、今日は来ないのかな?また会いたいなぁ。お話もしたいけど、それはちょっとでしゃばり過ぎ?
 チリンチリン。
 玄関の鈴が鳴っている。
「誰か来たな……ミナ、一応ナイフ握っとけ」
 お客さんを刺せって言ってるよね、それ。
「誰だ?」
「便利屋『ツイン・ブレイド』はここで宜しいですか?」
 男の人の声。落ち着いた声だ。
「そっちは誰だ?仕事の依頼か、それとも」
「同僚みたいなものです」
「……分かった。今開ける」
 扉を開けると、そこに立っていたのは髪で片目を隠した青いスーツの男の人と、なんだかミステリアスな恰好をした女の人……占い師?
「とりあえず上がりな。玄関先で自己紹介する必要はねーだろ」
「失礼します」
 二人がこっちに……あ、男の人と目が合った。
「……?」
「どうした?」
「いえ……いえ。後で訊きます」
 一瞬、男の人がヴルドの方を見たけど……なんだか凄く非難するような目だったような。
 とにかく、居間のソファに私とヴルド、男の人と女の人が対面する形で座ることになったんだけど。
「ここでくっつく必要は無いと思うのですが」
「良いじゃない。どうせ遅かれ早かれこうなるのは隠しきれないんだし」
「我慢してください」
「無理」
「……」
 女の人が男の人の腕に自分の腕を絡ませていた。
 これがカップルってヤツなのかな?男の人はどちらかというと呆れてるように見えなくもないけど、振り払おうともしない。
「お前らなぁ……」
「私がやりたくてやってる訳では」
「でも逃げないのよねぇ」
「貴女がしつこいから諦めてるだけです」
「またまた照れちゃって~」
「絶対に違います」
 どうやら、こんな事はしょっちゅうらしい。
 積極的になれば、私も上手く行けたりするのかな?きっと緊張して無理か。
 ヴルドは私の事を『世間知らずで好き勝手するガキ』とか思ってるみたいだけど、私だって結構恥ずかしかったりするんだから。
「じゃ、名前から訊こうか」
「人に名前を訊く時はまず自分から、では?」
「それもそうだな。俺の名はヴルド。こっちの小さいのが仕事仲間のミナ」
「小さい言うな!それと仕事仲間じゃなくて相棒でしょ!!」
「五月蝿ぇ!俺はそこまで認めてねぇ!!」
 この認めてないと言うのは多分勇者の事だと思う。
 昔は目指してたんだから今更恥ずかしがっても遅いと思うんだけど。なんで素直じゃないのかなぁ?
「お二人はここで住んでいるのですか?」
「ん、まーな。見ての通り家だけは馬鹿でかいからな」
「そうそう。お陰で掃除が大変なの」
「掃除ですか。お二人に血縁関係は?」
「ねーよ。どこも似てないだろうが」
「……」
 まただんまりになっちゃった。何を考えてるんだろ?
 にしてもヴルドの子供なんて絶対嫌だ。なんか意地汚い陰気な人間に育ちそう。ついでに老け顔になりそう。
「おい、何か言いたい事でもあんのか?」
「いや……別に」
「その態度は絶対にあるだろ!?」
 私に訊いたのかと思ったら男の人に訊いていたみたい。ちょっとびっくりした。
「いえ……ただ、まだ成人もしていない、かつ血の繋がらない異性と一緒に住む成人男性というのはどうも」
「明らかに咎めてるじゃねーか!」
「まぁまぁ落ち着いて。人には色んな性癖・嗜好があるものよ」
「嗜好とかそういうんじゃなくてだな……!」
「つまりダニエルが言いたいことは、貴方がロ」

「俺はロリコンじゃねぇつってんだろうがぁ!!」

ドカァン!

 ……ヴルド、いきなり机を馬鹿力で叩かないでよ。近所の人に迷惑……でもないね。この街はいつでも五月蝿いし。
「あらあら」
 女の人はクスッと笑っている。
「私はまだ『ロ』までしか言ってなかったんだけれど。もしかして少しは自覚していたのかしら?」
「違うわぁ!たまたま周りに同じような奴らが」
「同じというのは貴方と同じ、と解釈しても?」
「よくねーよ!今のは……そう、間違いだ!」
「間違いね」
「そうだ。人間誰しも間違いがあると言うだろ」
「そしてミナちゃんと一夜限りの間違いを」
「犯すかボケェ!!」
 ヴルドが顔を真っ赤にして怒ってるのに対し、女の人は本当に楽しそうに笑っていた。
 こんな事をしながらでも腕は絡ませたままだ。男の人……ダニエルさんか。ダニエルさんが凄く迷惑そうな顔をしている……ヴルドの大声か、女の人の挑発か、それとも腕か。どれなんだろ?
「両方」
「え?」
 三つの内の両方って……何?
 そう思っていると今度は声を大にして
「両方とも静かにして下さい!今から喧嘩してどうするんですか!?」
 あ、あぁ……ヴルドと女の人の両方だったのか。
「でもダニエルだってそんな顔を」
「このままじゃ話が進まないじゃないですか。そういう事は思っても黙っていて下さい」
「おい待てコラ。それじゃあ疑惑は疑惑のまま解決されねーじゃねーか!」
「そんな事よりまずは自己紹介、情報交換に今後の事について話し合う必要があるでしょう」
「グッ、う?」
 おー。正論でやり込めた。
 そうだよね。ヴルドがロリコン(?)とかいう話より仕事の話をしなきゃね。なんといっても依頼主はあの男の子だし!
「全く……」
 パッパッと服を整え、ソファに座り直す。
 やっぱり冷静な人なのかな?口調からして礼儀正しい人ではあるみたいだけど。
「私の名前はダニエル。魔法王国で探偵事務所を開いています。そしてこちらがミスト。事務所の管理人です」
「管理人?なんでそんな恰好してんだ?」
「彼女は占い師でもありますので。魔法も得意のようです。ちなみに私は銃を持ち歩いています」
「銃に、魔法……」
 魔法……と言えば『エルドラド』のボス、グレガルが出てくるなぁ。
 あれ、アルテイルは魔法?魔力は使うよね?後でヴルドに訊いてみよーっと。
「って事は手前達だけでも戦える訳か」
「はい。そこら辺の雑魚モンスターなら簡単に倒せますよ」
「そりゃ頼もしい。だが一つ忠告だ」
「なんでしょうか?」
「得物は離すな」
「……は?」
 そう言うとヴルドはいきなり立ち上がり

「らぁっ!」

 右拳を思いっ切りダニエルさんに突き出し……って!
「な、何してるのさ!?」
 幾らなんでも失礼過ぎるよ!
「ほぉ、それなりに反応出来るみたいだな?」
「当然です……ですがミナさんの言う通りです。何のつもりですか?」
「何、テストだ」
 鼻先寸前で止めていた拳を引っ込める。
 その下の腹部には黒く光る銃が一丁、ダニエルさんの手に握られていた。
 そっか。ヴルドが殴ろうとしたから咄嗟に銃を抜いたんだ。
「こんな風に不意打ちで襲ってくる輩もいるから気をつけな。この街の中は全域危険さ」
「……分かりました。それとミスト、その魔法はこの家が吹っ飛ぶと思うので止めて下さい」
「あら、バレてたの?」
「その手に持っているのを見れば誰でも分かりますよ」
 ダニエルさんに指摘され、ミストさんが出したのは丸くて透明な水晶玉。
 え?占いで家が吹っ飛んじゃうの?
 と、横に座ったヴルドが興味が有りそうに
「ふーん。魔力があるみたいだな。高く売れるんじゃねーか?」
「……貴方、分かるのかしら?」
「価値までは分からん。力があるのを感じるぐらいだ。ま、そういう能力があると覚えといてくれ」
「力を感じ取れるスキルね」
 魔力があるって事は魔法の増幅装置かな?それを魔法使いでも無いのに見ただけで分かるヴルドのスキルって便利だよね。
 ……え?
「ミ、ミストさんってスキルを知ってるんですかっ!?」
「えぇ、勿論」
 至極あっさり認めた。隣のダニエルさんは反応がないから知らないのかも知れないけど……けど私、初めてこの街でスキルを知ってる人にあったよ……
「興奮してるところ悪いが、俺のスキルは力の感知と筋力の増幅だ。相手が強ければ強いほど筋力が増す。で、ミナのは」
「自分で言うよ!私のスキルは簡単に言えば弱点が見えるんだ。いつも見えてるんじゃなくて見ようとしたら見えるんだけど。弱点は人や物によって場所はまちまちなの。で、そこを剣なんかで刺しちゃえば一撃ダウンって訳」
「ふぅん……二人とも面白そうなスキルね」
「ミストさんにはスキルってあるんですか?」
 ミストさんは腕を持ち上げて首を振る。
「ないわ。知識として知っているだけ。ダニエルにもスキルはないけどその代わり、特殊な魔法が使えるわ」
「特殊な魔法?」
「過去を視れる魔法。起動条件は、コレです」
 ダニエルさんの手に握られていたのは……一口大のチョコレートが詰まった容器?
「このチョコを食べる事で私の魔法は発動するんです」
「食べたらってそりゃまた妙な魔法だな。他には使えないのか?」
「ええ。使えたら銃なんて持ち歩きませんよ」
「そりゃそーだ。実体がある物は無くしちまうが魔力は使い過ぎなきゃ無くならないからな」
 そういう問題なのかな?確かに忘れ物をして戦えないなんて馬鹿な事にはならないとは思うけど。
「自己紹介としてはこんなものでしょうか」
「ま、便利屋なんて言ったらしまいだしな。説明する事がない」
「なんでも屋だからね。悪い事の片棒は担ぐつもりないけど」
「結構真面目な仕事ですね」
「こいつの所為で商売あがったりだ」
 ムスッとした顔で言うヴルド。
 勇者なんだから悪い事をしないのは当たり前。人助けも当たり前でしょ……お金は貰うけど。
「では次の情報交換です」
 テキパキ進めるね。仕切り屋なのかな?
「情報交換と言ってもまだ何も調べてねぇよ」
「あるでしょう?依頼内容という情報が」
「あ?依頼って両方同じじゃ……いや」
 腕組みをして考え込むヴルド。何かピンと来るものなんてあったっけ?
「そうだな。この街の中ならともかく外の奴がちっぽけな街の派閥なんて知る訳がない。なのにお前らは仕事を受けて街の外どころか国外から来ている」
「……そうですね。派閥の話はまだ聞いていません」
「俺からか?それとも」
「依頼主から、ですね」
 やっぱり街の外では有名にはなれないのか。結構派手に戦ったんだけど……勇者への道は遠いなぁ。
「ん?でもダニエルさん達が私達の戦いを知らないと何が問題なの?」
「あのなぁ、ミナ。俺達は『エルドラド』の跡地を調べてくれって依頼を受けたんだぞ?この街の人間以外、それが何の跡地だったか分かる訳ないだろ」
「でもあの依頼主に説明されてるんじゃ?」
「その依頼の前に受けたのは『貴方達の戦いについて教えてほしい』だ。つまりあの日初めて依頼主は俺達の戦いの詳細を知った筈。こっちのダニエル達が出発したのはあの日より前じゃないと移動手段的に間に合わない」
「だったら依頼主は私達に話を聞く前から知っていた……とか」
「自分が知ってる話をもう一度聞く為に金を払う阿呆がいるか馬鹿」
「馬鹿って言うなー!」
 でもヴルドの言う通りでもある。
 あの人、どうしてそんな事を?
「で、そっちはどういう依頼として受けたんだ?」
「私達は『月光』という魔刀を取り返せ、と」
「その『月光』ってのは知らん。勿論『エルドラド』の騒ぎの時にも聞いた事がない」
 手で顎を掻きながら考え込むダニエルさん。
「全く関係なさそうな依頼を二ヶ所で同時に頼み、協力するように促した……」
「さっぱり訳が分からんな」
 足を組み、だらんとソファにもたれ掛かるヴルド。そのまま目を閉じじゃった。凄い態度ね。
「お客さんの前でそんな恰好はダメでしょ。それと少しは考えようとしてよ」
「客っつってもしばらく一緒に過ごすんだから対応は変わらん。それと考えるのはそっちの方が向いてそうだ。探偵だしな」
「けど」
「知らん」
 訊く前に返答するのはどうかと思う。
 そのまま寝ちゃいそうなヴルドを横目に溜め息を一つ。それからお客さん二人に向き直り
「こんなのですからテキトーにあしらっていいよ。それと二人の部屋は二階に用意してるからそこを使って。何か不備があったら対応出来る範囲でどうにかします。ヴルドに訊くのは無駄だから私の方に来て言ってね」
「わ、分かりました」
「しっかりしてるわねぇ」
「これと一緒に住んでますからね」
 家事はほぼ全て私に任せ切りだから私がしっかりしないと家が埃で埋もれちゃう。
「それではダニエルさんにミストさん。しばらくの間宜しくお願いしまーす!」
「こちらこそ宜しくお願いします」
「一緒に頑張りましょ」
 こんな感じで初日の会合は終わったのだった。



~~~~~~~~~~

次回『クロス・ストーリー 第四話 ―新たな戦い』

「分かってないわね。ここは既に戦場よ」



ここからしばらくの間、全くのノープランで書くのでgdgd展開にご注意下さい。
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